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2026/08/10 15:35

今回、8月のお盆の催しに向けて、
ヴィンテージウォッチを集めています。

周年の後に少しずつ集め続けて
気がつけば25本。

年代を感じる文字盤や、金属とレザーの組み合わせ。
見た目はどれも面白い。

中には「これは今回の目玉にできそうだ」
と思って選んだアイテムもありました。

ただ、私には時計の専門知識がありません。
古着ならある程度は自分の目で見て、
生地感や年代、シルエットなどを判断できます。
でも時計は違います。

そこで今回、中崎町のおいでやす通りにある老舗、
藤井時計店様へ25本すべてを持って行きました。

時計一筋50年、店主の藤井様。
一つずつ見ていただきました。


ルーペを目に当てて、時計を手に取る。
裏蓋を開けて、中に入っているものを見る。

動いているか。
どういう機構なのか。
そもそも本物か。

一本ずつ確認してもらった結果分かったこと、

25本中、5本がジャンク品でした...。

その中には、「これは目玉になりそうだ」
と意気込んだものもあります。

つまり、見ただけでは本当に分からないのです。
自分が選んだ時点では一応 動いたのに、
それなりにがっかりしたのですが、
でも同時に怖いことでもありました。


そして、
藤井さまが時計の中身を見ながら
何度も口にしていたのが、

「機械」という言葉でした。

僕は今まで、時計の中身を「ムーブメント」
と呼ぶものだと思っていました。

でも、この人にとっては「機械」。

なんだか妙に印象に残りました。

確かに、そこには小さな歯車や部品が無数にあって、
それらが組み合わさって一つの時計を動かしている。
まさに、小さな機械ですね。


話を聞いていると、
昔と今では時計を取り巻く環境も
随分変わったそうです。

昔は、ある程度きちんとした時計メーカーのものが中心で、
時計店を通して時計を買うことが当たり前。

時計の組合などもあり、
業界の中である程度の秩序?もあったそうです。

ところが今では、
家電量販店などでも時計が売られ、
数百円で「時計の形をしたもの」まで存在する。

藤井さまは、そういうものを「おもちゃ」と表現していました。

もちろん、それが悪いという話では決してありません。

ただ、昔から存在してきた「時計」というものの世界が、
ずいぶん変わってきたのだと思います。

それと同時に、

古い機械を見て、良し悪しを判断し、
必要なら直すことができる人も少なくなっている。

そんな話も聞かせてもらいました。


今回、最も印象に残ったのは、

「こういう古い機械を直せる人間も、
機械自体も、どんどん少なくなっていく」

という趣旨の言葉でした。

淡々と言われた割には、
何か物凄いことを言われてる気もしました。

古着もそうですが、古いものは、
ただ古いだけでは残っていきません。

それを扱える人がいて、直せる人がいて、
価値を判断できる人がいて、初めて次の人へ渡ります。

今回、僕が持ち込んだ25本も、
見た目だけなら全部「ヴィンテージウォッチ」です。

でも中を見てもらうと、そうではありませんでした。

だからこそ、今回この確認をしてもらえたこと自体が、
私にとってはかなり大きな意味を持つものになりました。


時計のことをほとんど何も分かっていないペーペーの私が、
(一応事前にお電話はしたものの)
いきなり25本も持って行ったのに
嫌な顔一つせず見てくださったこと。

昔ながらの商店街の時計店で、
ルーペを片手に一つずつ見てもらっている間にも、
近所の方がふらっと入ってきて、
世間話をして帰っていく。

最初は「いや順番守ってよ」と思いましたが笑、
店内の扇風機と野球中継も相まってか
あまりにものどかな空間だったので、
これはこれでいい時間だなと思えてきました。


今回ご紹介するヴィンテージウォッチについては、
専門店で実際に状態を確認していただいた上で、
それぞれのコンディションを記載しています。

時計専門店ではない金永だからこそ、
分からないところは分かる人に見てもらう。

その上で私が「良い」と思えたものをご紹介する。

今回の時計選びは、そんなところから始まりました。

8月13日・14日。

長袖シャツと一緒に、店頭でご覧いただけます。


P.S.
余談ですが、もう一つ印象に残ったのが、
藤井さんの「動き」でした。

お店自体は、とても小さな昔ながらの時計店です。
小さな作業場に座り、世間話をしながら時計を触る。

作業が始まると、とにかく無駄がない。

必要な道具はすべて手の届くところにあって、
ルーペを目に当てたまま、
引き出しを開けるのも、
道具を選ぶのも、
ほとんど手元を見ない。

時計の裏蓋を開け、中の「機械」を確認し、
細かな部品をつまんで動かしていく。

それをこちらと話をしながら、淡々とやっていく。
長年やってきた人にしか出せない、
身体に染み付いた職人の動きだと、
そう思えてなりませんでした。

この人に見てもらえば大丈夫なんだろうな、
そう思いながら過ごした時間でした。

快く見てくださった藤井時計店の藤井様に感謝を込めて。

金永
店主 金場大作